勤住協トレンド特集記事から
我国の健康住宅作りと言うと、アレルギーやアトピー、喘息といった症状がある人々が、
新建材で出来た家でシックハウス症候群や化学物質過敏症に悩まされ、新たにリフォームを
したり新しく家を作る時に、出来るだけ人や動物に負荷を掛けない材料を使って作ることに
なる。
それには内装外装に木材を使ったり土壁、漆くいなど昔から使っている素材が多く使われ
る。 新建材と言われるMDFや合板ではなく、特に椋材(むく)を内部の天井、壁、床など
に多用し、木材の調湿作用を大きなねらいとしている。 この調湿作用を妨げないためには何
も塗らないのが良い。
昔から塗料の発展の歴史を見ると西洋では、油性系塗料が早くから塗装されていて木材に
油をしみ込ませる方法と素材、表面に塗膜を着ける方法とが使われてきている。
表面に塗膜を着ける方法は、全く材が呼吸しなくなってしまうが、汚れや水分から素材を
守ることにはなる。
また油をしみ込ませる方法は木材の表面近くに油をしみ込ませ、水分や
汚れから素材を守る。 木材の表面に細かい穴があり、そこから調湿が出来るが、100%と
はいかない。 長年使用している内にその穴に埃や汚れが入ってしまえば、本来の調湿の妨げ
になってしまうからである。 椋材は、ペーパーや鉋(かんな)で表面を削ったり、また水洗
いやアク洗いをすれば元の様にきれいになる。 そこに何か塗ってあれば、まずそれを落とし
てから、素材を洗わなくてはならず、とても手間が掛かってしまう。 だからできるだけ塗る
所を少なくし、アレルギー又はシックハウスのある人は自分や家族の体の悪い部分を治して
からでも塗装するのは遅くない はずだ。
@エコロジー塗料と科学塗料
エコロジー住宅と呼ばれて家作りやリフォームが出来始めているが、塗料塗装の場合、シ
ックハウスとエコロジー塗料を分けて考えなければならない。
一度化学物質過敏症やアレルギー体質になってしまうと匂いに敏感になり(個人差にもよる)
少しの刺激臭で反応をしてしまう様になるからだ。
自然物と言われる物を使って塗料を作っても、匂いがきついと反応する人が多く出て来て
しまう。 また、化学物質と言われる石油から採れる低臭溶剤を使うと反応しない人もかなり
いる。
エコロジーと言われる地球環境を守るような自然物や植物から油を作り、塗料の骨格をな
すものとして木から採取する樹脂を使い、塗料の溶剤として松ヤニを精製して作る松根油や
ユーカリの木から採れるユーカリ油、オレンジの果皮から採れるオレンジトラールといった
物を使って塗料にし、この塗料が塗装される時、そして経年変化し劣化しても人類や生物に
負荷を掛けない様なコンセプトで作られている塗料がある。
また石油資源があと60年採取し続けると枯渇してしまうと言われ、これから取れる物は
エコロジーな物ではないと言われている。
なぜならこの様な化石化物質は一度地上に出ると元に戻らなくなる。 そして人間が手を加
えると人類にとっては便利な物に変わるが、また生物や地球に負荷を掛けてしまう厄介な物
質でもある。 現在作られている塗料はほとんどがこの様な物で作られ、自然物と言われる植
物からの油や樹脂、そして化学物質から採れる科学樹脂を混ぜた塗料が合成樹脂として作ら
れている。 またこの様な塗料は今まで作られて来た塗料として一番、持ちも良く塗りやすく
優れた性能を持っている。
自然塗料の全てが良く、合成化学塗料の全てが悪いとは決めつけられない部分もある。
なぜなら大規模な構造物を紫外線や塩害から守るとなるとまだまだ自然塗料、塗装技術では
困難で国家的損失につながるからで、これからの人類の課題になるのではないだろうか。
近年ドイツやアメリカ等で環境や人体に負荷の掛けない塗料が普及し始め、4〜5年前か
ら日本の市場にも出回り始めている。 しかし、その中身や成分の%等細部は、メーカーによ
っては明確にされない(メーカーの企業秘密)。 はたしてどこまでエコロジー塗料として出
来ているのか、シックハウスや化学物質過敏症、アレルギー体質に対応出来るのか、メーカ
ーのカタログ通り信じて良いのだろうか疑問である。
自然塗料の性質
自然塗料という表現になるとなんでも自然から得た物で出来た塗料と解釈されるが、エコ
ロジーと言われる住空間非汚染性やリサイクルによる地球環境保護の観点からのコンセプト
で作られ、原料の供給、製造、作業中の有機溶剤による安全性、塗装後の経年変化による劣
化、この様な塗料の一生の中で地球全体又は、生物に負荷を掛けないで作られる塗料を指し
ている。 しかし、科学物質過敏症やシックハウスに必ず自然物と言われる物から作られた塗
料でも反応してしまう人々が居るのも確かで、この場合匂いの少ない石油系溶剤が使われて
いるこの石油系溶剤はドイツではイソアソフェーデ、日本ではイソパラフィンと言われ、不
飽和炭化水素及び芳香族炭化水素などを含まない物質でFDA(米国食品医薬品局)の規格
に該当する溶剤で安全性が高い と言われている。
現在日本では自然塗料、科学塗料の区別が国や法律で定められているわけではなく、自然
塗料、エコロジー塗料、健康塗料と名付けられていても何処で誰が決めるのか、それぞれが
(その様な名前を付けると都合の良い人々)個々に名付けているにすぎず、相手の都合で惑
わされてはいけない。 では、どの様にして消費者は、どれがシックハウスか科学物質過敏症
か、アレルギーに負荷が掛からないか自分で確かめるしか方法が無いのである。 なぜなら人
の顔一人一人違うようにそれぞれの症状が使う塗料によって変わるため、使う前に匂いを嗅
いだり、触れたりして、自分や家族に影響が出ないかを確認して使う必要が出てくる。
それではこの様な塗料が塗装をしてどれだけ塗料の使命を果たすかが問題だ塗料の使命は
物体の保護、物体の美化などで特に物体の保護ということになると現在まで発売されている
化学塗料に勝るものは無く、日本の50年前の塗料と同じ程度の性能になる。 この頃の塗料
は表2の様な物で作られていた。
ほとんどが自然物から採れたりそれを加工したりして作られた。 しかしこの様な塗料は
塗り勝手が悪く長持ちしなかったりで、石油系の原料を使った合成樹脂塗料に置き換えられ
現在に至っている。また物体の美化となると、色を付けたり塗りつぶしたり(エナメル)し
て鮮やかな色で表現している現在の塗料と比べると、表2にある顔料ではなかなか冴えた色
が出ず、思うような表現ができなくなる。この様な欠点を解っていても、シックハウスや化
学物質過敏症、アレルギーのことを考えると、生物や地球にやさしい塗料を使ってもう一度
昔に戻って見るのも良いではないか。
『東洋人、特に日本人は6000年前から日常使う土器や背負籠に漆を塗ってきているため、塗
装、つまり物に何かを塗ることに何も抵抗を感じなくなっている。塗るということが物、つ
まり素材を守ることを古くから知って、日頃手がよく触れる所、建具、柱、足の裏が触れる
床等、漆に限らず大切に米ぬか油やくるみ油、おから拭、そして柿渋等自然物の塗装を行っ
てきている』